物忘れについて

物忘れというのは、どんな人にでも経験されるものです。
とくに年齢を経れば経るほど物忘れは増えてきます。
では、正常の物忘れと異常な物忘れとはどういうふうにちがうのでしょうか。

良性物忘れと悪性健忘
良性老人性物忘れ 悪性健忘
病的有無 生理的で加齢に伴うもの 病的で認知症疾患にみられる
記憶・記銘障害 記銘力障害が主 記銘力障害とともに想起障害がみられる
病識 自分で物忘れを認めて努力する、捜し物は多い。 自分で物忘れを認めようとはしない。探そうとしないで誰かがとったと言ったりする。
見当識 日・時・場所がわからなくなることはない。 日・時・場所はわからなくなる
作話 作話はみられない しばしばみられる
学習能力 学習能力は保持されている 学習能力に著しい障害がある
日常生活 日常生活に明らかな支障はない 日常生活に明らかな支障を来す
進行 きわめて徐々にしか進行しない 進行が比較的早い


では、悪性健忘(認知症)とはどういうものでしょうか。


認知症の定義
 
アメリカの精神医学会のDSM−VRという診断基準では、
 A. 記憶(短期、長期)の障害
 B. 次のうち一つ
    @ 抽象的思考の障害
    A 判断の障害
    B 高次皮質機能の障害(失語、失行、失認、構成障害)
    C 性格変化
 C. A、Bの障害により、仕事、社会活動、人間関係が損なわれる
 D. 意識障害の時には診断しない
 E. 病歴や検査から脳器質性因子の存在が推測できる
となっています。

 従来の考えで言えば、「慢性に進行する後天性の非可逆性の知能低下」lということになりますが、最近では「非可逆性」というところが必ずしもそうではないという議論があり、上記のような診断基準が広く用いられるようになってきました。



老年性認知症の原因
 主に下記の二つがあります。
@ アルツハイマー型老年認知症
A 脳血管性
認知症

脳血管性認知症 アルツハイマー型認知症
発症 半数は脳卒中後
半数は緩徐に
常に徐々に
経過 慢性
階段状に進展
一時的に回復もある
停止することあり
慢性
多くはゆっくりと進行性
停止することもある
症状の短時
日内の動揺
少ない ほとんどない
病像 知的機能障害がまだら(まだら認知症)
人格の核はよく保たれている。
感情失禁
記憶障害が初期から強い
失見当識、逆行性健忘が目立つ
人格変化が強い
注意や低次神経機能は比較的よくと保たれる
せん妄の合併 しばしば ときに
神経学的局在症状 (++) しばしば (±) 初期にはない。末期には錐体外路症状



認知症の介護の基本

 @ 叱らない。
 A 説得しない。
 B 相手にとことん合わせる。

以上を守ってください。ご本人が信じていることを否定したり、それを怒ってみたり、修正しようとしても火に油をそそぐだけでかえって興奮させたり、妄想をひきおこしたりする場合があります。とにかく、ご本人の言うことに合わせてください。

認知症の治療薬
 T.アルツハイマー型認知症
 アリセプトという飲み薬があります。1日1回服用するだけで、約1年間認知症の進行を遅らせることができる薬です。主な副作用は胃腸障害です。
 認知症の進行を遅らせる薬であって、治療薬とは趣をことにします。
 血流をよくするという意味で、アスピリンも効果があるといわれています。(脳血管性認知症の場合も)
 動脈硬化を予防するという意味で、ビタミンEも有効であると考えられます。(脳血管性認知症の場合も)
 U.脳血管性認知症
    脳代謝賦活剤、脳循環改善剤などを用います。
 V.その他
 認知症による種々の精神症状に対しては、対症的に向精神薬を用いることがありますが、薬物療法では効果がない場合もあります。


 2004年11月19日、厚生労働省から、「不快感や侮べつ的な感じを伴い、好ましくない」として、 「痴呆」の呼称を「認知症」にかえることがほぼ決定したと発表があり、2004年12月24日厚生労働省では正式な呼称となりました。
 「痴呆性高齢者」は「認知症高齢者」に、 「痴呆性高齢者グループホーム」は「認知症高齢者グループホーム」と呼ぶことになります。
 日本痴呆学会も、2005年10月1日、学会名を「日本認知症学会」に改称し、医学用語としても「痴呆」を「認知症」に全面置換することを強く推奨するとしました。
 この判断を受け、当ホームページでも、「痴呆」を「認知症」に全面変更しました。